2013年12月11日水曜日

伏見稲荷大社散歩


僕の実家は伏見稲荷大社のすぐそばで、毎年の初詣はもちろん、ちょっとした散歩コースとしても幼少の頃からよく訪れていました。
ここのところ紅葉シーズンで人が多かったのですが、少し落ち着いて来たので、早朝の散歩にと行ってきました。


本殿や有名な千本鳥居、奥社までは歩いて10分ほどで見られます。
ここまででも充分伏見稲荷大社の朱色の世界に浸れるのですが、
稲荷山全体が神域なので、山登りをしながら各地にある鳥居や祠を見てまわると、さらに伏見稲荷の魅力をたっぷり味わえておすすめです。
特に僕が好きなのは、清瀧のあたり。

山を登っていったずっと先にあるので、行くまでに一時間近くかかり少し大変ですが、
その分人もほとんど通らず、空気がすーっと澄んでいて別世界に迷い込んだ感覚になります。
清瀧と言ってもチョロチョロと水が流れている程度の人工的な瀧ですが、その周りの雰囲気が素晴らしいです。
苔むしたお狐さまもいて、かわいいです。

初詣の賑わいも、人のいない静かな雰囲気も、どの季節も違った趣があり素敵です。
行く度に「やっぱりいいなぁ」と思える場所です。
ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

2013年10月16日水曜日

パリ美術館

パリ出張の合間の、美術館巡りの記録です。

学生の時に行った、初めてのパリでは、 ルーヴル美術館を見ただけで時間切れになってしまい、
他のところをまわれなかったのが悔しく、 絶対にまた来ていろいろ見ると、心に決めていました。
中でも特に行きたいと思っていたのが、オルセー美術館。

今回は一番最初にオルセー美術館に行くことにしました。

ルーヴルもそうでしたが、 館内には教科書に載っているような有名な作品がずらり。
これはあの時に描かれたあの絵だ!とまるで作家本人に会って、 その人生をみているような気分。
ずっと見たいと憧れていた作品が目の前にある! という感動を噛み締めながら進みました。

その日は美術館巡りをしようと決めていた日だったので、 見たい作品はほぼ全て、じっくり見ることが出来たのですが、
広い館内で ドガのパステル画、『踊りの花形』や『浴盤』 を見つけることができず、 鑑賞することができなかったのが残念でした。

次回のパリの楽しみの一つとしてとっておこうと思います。

2013年9月7日土曜日

黄金の世界樹



9つの世界を宿した世界樹。

物語を初めてきいたときから、コレクションを象徴するものとしてどうしてもかたちにしたかった、金の世界樹。

k18とk10の6色のゴールドパーツに50石のダイアモンドをちりばめました。

9つの世界を巡って、それぞれの世界で見つけた、たからもの。


エルフの弓と羽、ドワーフたちが見つけた鉱石、霜の華、ヴァルキュリアたちの煌めき、時を止めた炎、、


キラキラ輝く世界樹の思い出をつなげたネックレスは

まるで世界そのもの。
身に着けると、世界樹の旅のはじまりです。

本日と明日の2日間、この世界樹ネックレスを持って、新宿伊勢丹の店頭にて
ご来店お待ちしております!

2013年8月28日水曜日

ユグドラシル



暑くて暑くて仕方がなかった夏も、このところ少し涼しくなり夏の終わりを感じますね。
夏の終わりといえば、甘酸っぱい切なさを残すものですが、
僕は大好きな秋の到来が感じられて、なんだかわくわくしています。

それもそのはず、本日から秋冬の新作フェアがスタートいたします!




















秋冬のコレクションテーマは「YGGDRASILL」

ユグドラシルという言葉、あまり聞き慣れない響きですが、北欧神話に登場する一本の樹の名前なんです。
日本語では世界樹または宇宙樹と言い、その名の通り宇宙そのもの。九つの世界を宿した巨大な樹です。

その世界樹の中で繰り広げられる様々な神話の物語をベースに、オーロラ、霜、星空など北欧の冬の風景と重ね合わせてイメージを膨らませました。

テーマが決まったとき、ユグドラシルが一体何を指すものなのか分からず、神話と聞いただけで難しそうという印象だったのですが、
小島と森下から世界樹にまつわるエピソードと、何故そのテーマを選んだのかを聞いているうちに、なんだか面白そうと、次第に興味が湧いて来ました。

世界樹をきっかけに、北欧神話のことを調べていくと意外にもわかりやすく、難しいという意識は消え、どんどんその世界に引き込まれていくのを感じました。

例えば、
やがて死が訪れる事を知っている神さまたちが、永遠の命を得るために黄金の林檎を探し求めたり。
ある神さまは知恵を得るために代償として自らの片目を差し出したり、
不死身の神様を傷つけた、罪のないヤドリギを平和の象徴としたり。

北欧神話の全てを知ろうとすると膨大で大変ですが、一つ一つのエピソードを少しずつ読むだけでもとても面白いです。


その中でも特に好きなのが
オーディンという偉い神様に仕える、ヴァルキュリアと呼ばれる女性たちが夜空を舞うとき、身にまとった鎧からこぼれた光がオーロラをつくりだす。
という物語。

この世のものとは思えない、美しいオーロラの光が一体どこからくるのか、昔の人は色々と想像を膨らませてこのエピソードが生まれたのかなと思います。

北欧神話の中には暗い物語も多いのですが、このお話はなんだかロマンがあって素敵だなぁと思い、
空を翔るヴァルキュリアのように、オーロラの光を身にまとえるようなビジューをつくりたいなと思いました。



















オーロラの光のカーテンがたなびく様子を、グリーンクォーツのオリジナルカットで表現しました。
このグリーンクォーツという石は、その名の通り緑色の水晶ということなのですが、色味がなんともやわらかく絶妙で、オーロラのイメージにぴったり、神秘的です。

このオーロラカットの石の下に見える透かしは、霜が華のように広がる様子と、空から針葉樹林を見下ろした風景。
身につけた時に、そんな景色が広がるビジューになればいいなと思いデザインしました。


その他にも世界樹の根っこをかじる蛇、人々の運命を決めてしまう三姉妹の女神、北欧神話が記された石碑など。

世界樹というとても深いテーマから感じた思いをどうやってかたちにすればいいのか、悩み、楽しみながらひとつひとつかたちにしていきました。


9/7(土)、9/8(日)の二日間は新宿伊勢丹デザイナー来店のイベント、
9/14(土)9/15(日)9/16(月)の三日間は神戸のイベントで、
それぞれに込めた北欧神話の濃~い物語をお話したいと思います!
またそれ以外の日でも、店頭スタッフが熱くご説明いたしますので
皆さま、ぜひぜひご来店お待ちしております!

2013年8月21日水曜日

ぼくのなつやすみ*思い出の山


幼い頃、毎年夏になると近くの山へ昆虫採集に行っていました。
夏休みは毎日早起きをして、外がほんのり明るくなったくらいが出発時刻。

ドキドキしながらお墓の隣を通って、目当ての木を目指す。
今日はどんな大物と出会えるだろう、頭はそのことでいっぱいで怖さも忘れていました。

子どもたちの中でカブトムシとクワガタムシといえば花形の人気昆虫。
僕は専らクワガタ派で、特にヒラタクワガタが大好きでした。

カブトムシ、クワガタ採りは、彼らが集まる樹液の出ている木を探す事から始まります。
ひたすらに山の中を歩き回って、虫たちが集まっている木を覚えては、ルートを作って毎日繰り返し行っていました。
その繰り返しの中で、昆虫の活動時間や木の種類、どの部分に集まりやすいかなどを少しずつ覚えていきました。

中学生以降は山に行く機会も少なくなり、
大学でジュエリーの制作するようになってから、再びモチーフ探しのために訪れるようになりました。
年々、山の様子が変わっていくので、
ここ数年は昆虫採集よりもその環境の変化を確かめる目的が大きくなっていました。
昨年の夏に一度訪れた時は、以前とは随分様子が違っていたので、今年はどうだろうという思いでまた山を登りました。

小学生の頃によくチェックしていたお気に入りの木は、
誰かが樹皮の隙間に隠れるクワガタなどを採るためにしたのか、樹皮が大きく剥がされており、樹液もほとんど出ていないようでした。
この木にはもう長い間昆虫が付いていませんが、わずかな期待を胸に毎年見に来てしまいます。

次の木へ向かって歩いていると、どこからか「カチカチ、カチカチ」と言う音が。
不気味に思いつつ振り返ると、そこには一本のクヌギの木があり、根元をぐるりと囲むように密集した30匹近い数のカブトムシの大群がいました。

カチカチという音は、根元から出ているわずかな樹液をカブトムシたちが取り合っている、戦いの音だったのです。
















以前は一匹見つけただけで心が躍ったカブトムシ。
立派な雄を見つけたときは、それは胸が弾んだものでした。
昨年もカブトムシが沢山いて驚いたのですが、今年は更に数が増え、他の昆虫を寄せ付けない異様な光景でした。

カブトムシは、樹液に集まる昆虫の中での力関係で優位なので、他の昆虫が近寄れず、
時間帯を変えたり違う木にはもっと他の昆虫もいるのかなと思いつつも、衝撃的な光景を前にしばらく立ち尽くしていました。

山を歩いていて気が付いた事がありました。
至る所に置いてある、沢山の切り倒された木。
カブトムシの大量発生の原因は、これなのではないかと思いました。

カブトムシの数が増えたのではなく、山から樹液の出る木が少なくなったために、山全体のカブトムシが数本に集中してきているのかも知れません。














数年前に来た時に死骸を見つけたのを最後に、今年もクワガタの生息は確認出来ませんでした。
今年は死骸すらカブトムシのものばかりだったのです。

思い出の山。
木がなぜこんなに切り倒されているのか、調べつつ
今後も見守っていきたいと思います。


2013年8月7日水曜日

水の女神



ジィオデシック春夏コレクションのテーマは
「ブルーナイル、レッドサバンナ」です。


古代エジプトでは、睡蓮を「太陽の花」「水の女神」としてとても大切にし、壁画などに刻んでいました。
睡蓮の花は朝になると開き、夜の間は眠るように閉じていることから、太陽と結びつけられたそうです。
そのことにとても魅力を感じ、「ナイルの花嫁」と呼ばれた睡蓮をコレクションメインのモチーフに選びました。

















身に着けたときに睡蓮の花がぱっと開くような、あたたかく可愛らしいもの。
それが最初のデザインイメージでした。

睡蓮の、やわらかくみずみずしいフォルムを表現するためのオリジナルカットの水晶。
三つの丸がくっついたような形は、水面に浮かび重なり合う睡蓮の葉っぱの様子。
丸の中央に走る三本の稜線でナイル川の流れを表現しました。
石座は透かしで軽やかに。
石を通してK18の透かし文様が見えます。
腕は水面下でうねる茎や水の流れをイメージして自由なラインに、ポイントで浮かぶ睡蓮の葉はK18で。

完成したこのデザインはブルーナイルコレクションを象徴するものとして、ナイル川の合流地点の都市名から「ハルツーム」という名前になりました。

僕の実家には小さな池があり、そこで睡蓮を育てているのですが、先日葉っぱの隙間から可愛いふたご睡蓮が顔を出していて、思わず写真を撮りました。

池の中央スペースは空いているのに、なぜかいつも端っこに咲きます。

花はもちろんですが、葉っぱの微妙なうねりや、いびつな穴、つるつるとした質感など、自然のものは本当に美しくて眺めていて飽きません。


このふたご睡蓮のように、予想もしなかったことがある日突然起きるのも、自然ならではの面白さです。

日々の小さな感動をあつめて、かたちにしていけるといいなぁと思います。



2013年7月23日火曜日

コノハムシ


コノハムシという昆虫を初めて知ったのは、小学生の頃、
昆虫図鑑の最後に載っていた「へんな虫特集」でした。


大学在学中、ハチ、クワガタ、チョウと、昆虫をモチーフにジュエリーを制作し、卒業制作ではそれらの集大成になるようなものを作りたいと考えていました。
モチーフ探しの末行き着いた、昆虫標本を販売している海外のウェブサイトで、日本にはいない色とりどりで珍妙な昆虫の写真の中にコノハムシを見つけ、「これだ!」と感じました。
次第にその魅力にとりつかれ、3回生の夏にはブリーダーの方から生体を分けてもらうことが出来、飼育しながら観察することにしました。


コノハムシはタイやマレーシアに生息する、その名の通り葉っぱそっくりな昆虫で、葉っぱを食べ、葉っぱに擬態することで外敵から身を守り生活します。
その動きはとてもゆっくり。普段はじっとしていて、時折風が吹くと周りの葉っぱに合わせて自分の体を揺らします。
頑張って葉っぱになりきっている様子がとても可愛らしい昆虫です。

メスの翅は退化していて、飛ぶ為ではなくより葉っぱらしく見せる役割をしていて、体の微妙な輪郭は、コノハムシが齧った「虫食い葉っぱ」そっくりの形をしています。
観察をしていくと、一見でたらめな形や動きのひとつひとつに意味があり、それらすべてが生きる為の工夫だということが分かり、とても面白く、愛おしく思えました。

卵から生まれて、脱皮を繰り返し成長していく姿を日々観察し、
卒業制作では、大学で勉強してきたジュエリーの技法を用い、観察記録として生きたままのコノハムシの生態を表現することに決めました。




葉っぱの色に合わせて変わる、オレンジ、黄、緑と様々な体色の変化を金属の種類、仕上げの違いで表現したシリーズ。孵化、食事、産卵、コノハムシの生きた姿を食樹のグァバごと金属で制作した大物2点。8体の実物大コノハムシ。ディスプレイにはオリジナルで制作したアクリルケースと、大学とも縁の深い北山杉の丸太を使用しました。


大好きなものを精一杯つくる。
そう思ってつくった卒業制作は、とても自分らしく、思い出深いものとなりました。
コノハムシの食樹であるグァバの木の入手が難しく、現在は飼っていませんが、いつかもう一度環境を整えて
またじっくりコノハムシ観察したいなぁと思います。
コノハムシのオブジェ数体を、8月3日からの小島森下ゼミ×Geodesique「不思議な森に突如現れる空集合なモノたち」展に出品します。
ぜひ見にいらしてください。